2022年 私の10冊 その4
④ Seicho Matsumoto Tokyo Express
Seicho Matsumotoはともかく、Tokyo Expressというタイトルには、はてなと思うのではないでしょうか。これは『点と線』です。旅行に行く前に電車の中で読めるミステリーを探していて見つけた本で、装丁の良さにまず惹かれました。ペンギンクラシックス叢書の一冊ですから(三島由紀夫の『美しい星』もあります)、それなりにいい扱いを受けているわけです。肝心の中身ですが、非常に良い訳で、登場する二人の刑事が日本の刑事そのものに見えました。訳者は日本で暮らした経験があるに違いない。最近、海外では日本の小説の訳が数多く出ており、特に女性作家の評判が良いようです。この本の訳から判断するに今後も良い訳が出て、おそらく近い将来、Haruki Murakamiより先に日本の女性作家の中からノーベル賞受賞者が出るかもしれない。